音楽&薬草bar Scivias

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クリスチャン・ウォルフについて

スキヴィアスの常連さんに、すすめられたEditoin RZのウォルフの初期音源集が、ウォルフのイメージが変わる良い作品でした。

ウォルフが作曲にあたり主要なコンセプトとしているイタリアの女性平和運動家のルチアーノ・カステリーニの発言「既に在るものこそが、理に適ったものなのだ、と考える傾向があるために、異なった世界などというものは想像することさえできなくなってしまう」が、他の作品集だと見えにくいと思ったのですが、今回RZの作品集を聴くと、そのコンセプトが、より明確に見えるように思います。

 

他の作品集で、主要コンセプトが見えずらい問題は、実験音楽家であるウォルフの作品であっても、演奏家により古典化させられてしまう、言い方を変えれば記譜されたものを分析的にしか把握できない、という問題があるのではないかと思われます。

彼の音楽の特性は、ある一つの事柄(彼の作品)を通して、それぞれの演奏家、聴き手の文化的背景や社会状況により複数の見え方があるという事だと思われます。

しかし、そうであるはずのウォルフの作品を、分析して簡易化して、一つの制度にしてしまうと、先のカステリーニの「異なった世界を想像できない」状態にしてしまっているのではないでしょうか。

 

このRZのウォルフ作品集では、凝り固まった見方をすると不明瞭な作品、音響なのかも知れないですが、「異なる世界」を許容する、もしくは共有しあう作品になっているように聴こえます。