ヒルデガルド・フォン・ビンゲン
店名のSCIVIASは、ヒルデガルドの著作のタイトルから
中世の女性神秘家で、ドイツ薬草学の祖とも言われ、ヨーロッパで記録の残る最初の女性作曲家であるヒルデガルド・フォン・ビンゲン
彼女はヴィジョンと言われる幻視を見て、それを神のお告げとして記述した。
また、そのヴィジョンをイコンとして残している。
最近ヴァンデルヴァイザーからリリースされたirene kurkaのソプラノ独唱による作品は、ヒルデガルドの歌曲とジョン・ケージの歌曲が交互に収められている。
ネウマにより書かれたであろうヒルデガルドの音楽は、19世紀の五線譜により細かくコントロールされた楽曲でなく、簡単な「身振り」の記録だったのではないだろうか。
自身の身体を通過したシンプルな「身振り」の記録。
その「身振り」を通して見えてくる、それとは違った見え方。
ケージのいくつかの作品やポスト・ケージと言われる音楽、例えばフェルドマンやマセダの作品の根底にも、ヒルデガルドの音楽のような、ある作家の身体を通しての記述に対して、その音楽に参加する、それぞれの身体からの見え方の違いが、浮かび上がってくるような、音の現われ方があるように感じる。