Patrick Farmer
Patrick Farmer(turntables&electronics)
Kostis Kilymis(electronics)
Sarah Hughes(chorded zither)
Stephen Cornford(amplified piano)
四者によるセッションは、カサカサという擦れるおとや、ガラス板を、ゆっくりと引っ掻くような音、空調がうなるような持続音などによる演奏で、クレジットの記載がないと、ひっそりとした工房で職人が淡々と作業するサウンドスケープに聴こえる。
はじめ微かに聴こえる物音は、徐々にダイナミックな音の運動となり、顕微鏡の倍率を上げていき、音の素粒子たちが明瞭になっていくかのようである。そうかと思えば、先ほどとは逆次に、マクロな視点に立ち戻り、朧げなフォルムの音響となる。
ディスクには四者のインプロとジョン・ケージのfouroが収められているが、このfouroは野外でのセッションで、鳥のさえずりなどの、その場の音が終始なっている。
広がりのある屋外での演奏なのだが、彼らの奏でる音からは、先ほどのインプロと同じく、素粒子を拡大して見るようなミクロな視点を想起させられる。
奏でられる音と音のあいだから、野外の開かれた空間が、格子の隙間から覗き見るように広がる。